【ニュルブルクリンク24時間レース / ドイツ・ニュルブルクリンク】

タフな一戦となった50回目のニュルブルクリンク24時間レース、厳しい戦いの中で次のステップに繋がる走りをヴァルケンホルストが見せた!!

24h Nürburgring Race Report

レポート日 2022年5月29日
開催場所 ニュルブルクリンク
(ドイツ)
天候 決勝 : 晴れ 時々 雨
路面 決勝 : ドライ&ウェット

50回目という節目を迎えた記念大会となった2022年のニュルブルクリンク24時間レース。5月28日(土)の現地時間16時ちょうどに決勝レースがスタートし、“24時間スプリントレース”と称される通り、激しいバトルがレース序盤から繰り広げられ、昨年の優勝チームがクラッシュによりリタイアしたのをはじめ、次々と強豪チームが姿を消すタフな展開となった。世界の名だたるトップGTドライバーでさえも、ほんの一瞬の判断ミスが全てを失う結果となってしまうのがニュルの恐ろしいところであり、チャレンジングなところでもあるのだ。

間もなく日付が変わるという真夜中、バックストレートのデッティンガーへーエで100号車(ヘンリー・ヴァルケンホルスト選手/フリードリッヒ・フォン・ボーレン選手/ヨルグ・ブロイラー選手/アンドレアス・ツィーグラー選手)のBMW M4 GT3がクラッシュ。ドライバーには怪我がなかったのが幸いだったが、レースの中盤を迎える前のリタイアは予想をしていなかっただけに動揺が走る。

一方で101号車(クリスチャン・クログネス選手/アンディ・ソーチェック選手/サミ-マッティ・トロゲン選手/ヨルグ・ミューラー選手)は、29日(日)の0時30分を迎える頃には順調にペースを上げ、総合5位までポジションを上げており、さらなるポジションアップに期待が高まった。しかし、何という事だろうか、そんな順調と思えた101号車のBMW M4 GT3はステアリングに予期せぬトラブルが起き、ドライブをしていたソーチェック選手はその場でレースを終了せざるを得なかった。順調にナイトセッションをこなしており、トップ3も夢ではなかっただけにその落胆ぶりに心が痛んだ。

ヴァルケンホルストに残されたSP9プロ・アマクラスの102号車(ヨルグ・ミューラー選手/マリオ・フォン・ボーレン選手/ベン・トゥック選手/ヨーン・シュミット-シュターデ選手)をなんとしてもゴールへと導くべく、既にリタイアをしている2台に携わっていたチームクルー全員が協力して102号車のサポートに当たった。

もう初夏に入ろうとするのに、まるで真冬のように2.5℃まで冷え込むが、熱狂的なファンはお構いなしだ。ノルドシュライフェのキャンプ場ではお祭り騒ぎが最高潮に盛り上がっている。コースサイドで焼かれるソーセージの匂いは、コックピットの中にいるドライバーにもヘルメット越しに届き、ドライバーたちも頬を緩める。ところどころに打ち上げられる花火がナイトセッションを盛り上げ、運転席から見えるファンの楽しそうな姿やキャンプ場の光は、ドライバーにとっても心強いものだという。感染症禍の2年間は真っ暗闇をひたすら駆け抜けるのみの味気ないレースだっただけに、その嬉しさを毎ラップ噛み締めながら走るのが2022年のニュルブルクリンク24時間レースだ。

運が良ければ美しい朝焼けが広がり、澄んだ空気のニュルブルクリンクが美しいオレンジ色の光に包まれるのだが、あいにくこの日は曇り空で夜明けを迎えた。

レース開始から15時間が経過した7時頃には102号車はSP9クラスの8位を順調に走行していたのだが、午前中に単独クラッシュを起こしてしまい、修復作業を試みるもレースを全力で戦えるポテンシャルが見込めないことが判明。しかし、ヴァルケンホルスト・モータースポーツとヨコハマタイヤの全スタッフは、次へのステップへ繋げるべく、レース後半に何度も繰り返され、翻弄された晴れ~雨~晴れ~雨の“ニュル・ウェザー”のコンディションをタイヤテストにも活用、データ取りなども行って、長くもあり短かくもあった24時間レースをSP9プロ・アマクラスの7位でチェッカーフラッグを受けた。

日中最高気温も9℃ほどと、レース最終日は終始冷え込み、14:00を前にハッツェンバッハでは雹が降り出した日曜日。レース終盤には“ニュル・ウェザー”に翻弄されたのも、いかにもこの24時間レースらしいところ。感染症禍以前よりも多い23万人もの観客に恵まれ、ひさびさにこの全長25.378kmのコースで参加者とファンが一体となった第50回のレースが幕を閉じた。新たな歴史の第一歩を刻んだ24時間レース、次回の第51回目にはどんなドラマが待っているのだろうか。

DRIVER VOICE

アンディー・ソーチェック選手 [BMW M4 GT3 (101号車)  SP9プロクラス]

トラブルが起こるまで、マシンとタイヤのコンディションは素晴らしく、良いペースを保っていました。これ以上何を求めるのか、というくらいに素晴らしいパッケージで走行できていただけに、本当に残念で仕方がありません。レース開始後10時間のところでテクニカルトラブルが発生、ステアリングがロックしてしまい、ガードレールに衝突してしまいました。

ヨコハマタイヤからはとても手厚いテクニカルサポートを受け、様々な項目で共にじっくりと話し合う事ができ、とてもコンペティティブなタイヤとマシンのコンビネーションだったと思います。私にとって初めてのドライブとなるBMW、そしてGT3マシンでのニュルブルクリンク24時間レースの参戦とあり、信じられない程にこのレースを楽しみました。

このような素晴らしいチームで、このニュルへ挑戦することは特別で、再びこのメンバーでチャレンジできることを願っています。

ENGINEER VOICE

三好雅章 [横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発1グループ]

レースウィークの木曜日は深夜まで予選セッションが行われた事から、24時間レース本番に向けてナイトセッションの十分な練習走行になったと思います。翌日金曜日のトップ予選では想定していたよりも路面温度が低かったのも要因となって期待していた結果には届きませんでしたが、それらの結果に基づき、24時間レース用に用意していた3種類のタイヤをしっかりミーティングした上で決めていきました。

NLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)の第1戦から24時間レースの予選レースまで、ニュルブルクリンクを2ヶ月半走行し、チームとしても新しいBMW M4 GT3を理解することに努め、このマシン用の新しいタイヤのセットアップを進めてこられたと思います。

レース中のペースは当初考えていたよりも、周回を重ねるごとにどんどん良くなっていったと思います。途中でテクニカルトラブルやクラッシュで停まってしまいましたが、このニュルで行われる24時間を走ることでしか見えてこない課題も見つけ出せましたので、次に繋げられるためにも対策と解決に早速取り組みたいと思います。

Photo Gallery

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[#101] クリスチャン・クログネス選手/アンディ・ソーチェック選手/サミ-マッティ・トロゲン選手/ヨルグ・ミューラー選手

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第50回 ニュルブルクリンク24時間レース

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第50回 ニュルブルクリンク24時間レース

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[#101] クリスチャン・クログネス選手/アンディ・ソーチェック選手/サミ-マッティ・トロゲン選手/ヨルグ・ミューラー選手

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[#100] ヘンリー・ヴァルケンホルスト選手/フリードリッヒ・フォン・ボーレン選手/ヨルグ・ブロイラー選手/アンドレアス・ツィーグラー選手

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第50回 ニュルブルクリンク24時間レース

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[#102] ヨルグ・ミューラー選手/マリオ・フォン・ボーレン選手/ベン・トゥック選手/ヨーン・シュミット-シュターデ選手

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第50回 ニュルブルクリンク24時間レース

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第50回 ニュルブルクリンク24時間レース

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ヨルグ・ミューラー選手

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[#100] ヘンリー・ヴァルケンホルスト選手/フリードリッヒ・フォン・ボーレン選手/ヨルグ・ブロイラー選手/アンドレアス・ツィーグラー選手

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[#102] ヨルグ・ミューラー選手/マリオ・フォン・ボーレン選手/ベン・トゥック選手/ヨーン・シュミット-シュターデ選手

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ヨコハマタイヤサービス

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三好雅章 [横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発1グループ]

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