- HOME
- モータースポーツ
- 2022 Motorsports
- 2022 24H Nürburgring / NLS
- Round6 Report
【NLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ) 第6戦 / ドイツ・ニュルブルクリンク】
予選2番手の速さを見せたヴァルケンホルストのクリスチャン・クログネス選手、不安定な天候の決勝でも光る速さを見せた!!
NLS Round 6
開催日 | 2022年9月10日-11日 |
---|---|
開催場所 | ニュルブルクリンク (ドイツ) |
天候 | 曇り 時々 雨 |
路面 | ドライ&ウェット |
決勝時間 | 12時間 (1周=25,378m) |
前戦から2ヶ月の夏休みをはさんで、全8戦で競われる2022年のNLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)はシーズン後半戦へと突入した。当初は4月に予定されていた第2戦が降雪により11月に順延されて事実上の最終戦とされたため、今回の第6戦が8大会のカレンダーにおける後半戦の皮切りとなる。
前戦は6時間で競われたが、今回はさらに倍となる12時間の決勝が設定されている。ただしスタートからフィニッシュまで12時間連続ではなく、6時間×2パート制というユニークなフォーマットが採用された。現地時間で9月10日(土)の9時30分から120分の公式予選が行われ、ここで決勝のスターティンググリッドを決する。レースは14時30分にパート1がスタート、6時間後に一旦走行は終了となり、全車はパルクフェルメでオフィシャル監視下に置かれて保管となる。そして11日(日)の10時にレースはパート2がスタートして、残る6時間を競い合うのだ。
まずは公式予選だが、ニュルブルクリンクは厚い雨雲に空を覆われてしまった。セッション開始前から容赦なく雨がコースに打ちつけ、路面は全域でウェットコンディション。ヴァルケンホルストから参戦する2台のBMW・M4 GT3も、ともにレインタイヤを装着して臨むこととなった。
34号車はクリスチャン・クログネス選手/ベン・タック選手/サミ-マティ・トロゲン選手の3人でSP9-Proクラスへ、36号車はヘンリー・ヴァルケンホルスト選手/フリードリヒ・フォン・ボーレン選手/アンデシュ・ブシャール選手/ヨルン・シュミット-シュタード選手の4人体制というドライバーラインアップだ。
気温/路面温度とも14℃(ヨコハマタイヤ調べ)と低いコンディションの中、34号車はクログネス選手がステアリングを握ってコースイン。アイフェルの森を駆け抜ける25.378kmのコース、最初は盛大にウォータースプラッシュをあげての走行だったが、計測2周を終える頃には雨足がおさまってきてタイムも上がっていく。3周を終えてマシンはタック選手にリレーされ、こちらも3周を計測してトロゲン選手に交代。
トロゲン選手も3周を計測して11時10分にピットイン、セッションは残すところ20分となったが雨が止みコンディションは回復してきたことから各車のタイムアップも進み、この時点で34号車は10番手のポジション。そこでタイヤをスリックに交換、最初のドライブでここまでのベストとなっている9分27秒290をマークしているクログネス選手がアタックへと向かった。
クログネス選手は計測2周目に9分台の壁を破り、8分55秒098をマークして6番手に浮上。さらに手を緩めることなく締めくくりの一周、そこでは8分20秒719へとタイムアップを果たして2番手に躍進、決勝スターティンググリッドのフロントローを確保することに成功した。
予選を終え、様々な催しで賑わうニュルブルクリンク。往年の人気テレビドラマ「ナイトライダー」に出演した特殊車両「ナイト2000」をイメージしたポンティアック・ファイアーバードトランザムもコースインして、観客から大いに注目を集めていた。
いよいよ各車がピットを離れてコースイン、14時30分のスタートに向けて緊張が高まっていく。そして、まるでそれに連動するかのように、ポツポツと雨が落ちてきた。既にコースはドライコンディションとなっていたので、各車が装着しているタイヤはスリック。しかし14時05分にWET RACEの宣言が出され、レースは大荒れの予感も否めない展開に。
14時12分にフォーメーションラップ開始、既に各車はワイパーを作動させるに至り、ウェィービングしながらタイヤへしっかり熱を入れていく。そして14時30分にオンタイムで決勝はスタート、クログネス選手が駆る2番手スタートの34号車は2コーナーをすぎて5番手へドロップしたものの、ところにより路面に多くの水が浮いている状態と化したコースを手堅く進めていく。
コース上に留まるだけでも厳しそうな挙動を見せるライバルも存在する中、クログネス選手はしっかり周回してピットイン。ウェットタイヤへと交換してコースへ復帰すると、クラス9番手からの猛追撃が始まった。9分33秒385、9分32秒495と周回毎にタイムアップ、5周目には午前中の予選でウェットコンディションにおいて叩き出したベストタイムを超える9分27秒055をマークして、ポジションを5番手にまで回復した。
スタートから1時間を経過、7周目には34号車をはじめSP9-Proクラスのマシンが次々とピットイン。雨足はおさまっていたことからタイヤをスリックへと交換、ドライバーはクログネス選手が2スティント連続で担い再びコースへと戻っていった。まだ完全にドライへと転じたわけではないコース、ましてやここは難攻不落のニュルブルクリンク。しかしここから、クログネス選手の見事なドライビングが光る展開となった。
アウトラップの翌周、クログネス選手は8分35秒953をマーク。ポジションは7番手で前を行く11号車とは20秒あまりの差があった。しかしその次の周となる10周目には8分33秒245で、ここまでのファステストラップを叩き出し、11号車との差を10秒あまりへと詰めていく。勢いは留まることなく、12周目にはクラスで34号車とトップの5号車の2台のみが9分を切るラップタイムを刻み、13周目には先行していた2台を一気にかわして5番手へと浮上した。
5番手へと浮上したクログネス選手、トップとの差は2分15秒ほど。しかし14周目にはファステストラップを更新すると、差は1分46秒ほどとなり、15周目にはさらに1分39秒ほどへとトップとの差を縮めてピットイン。まだ先の長い決勝だが、さらなる躍進に期待を持たせる走りで、クログネス選手はタック選手へとマシンをリレーした。
受け継いだタック選手だったが、ニュルブルクリンクは再び容赦なく牙を剥いてきた。またも雨が降り始め、コース上ではスピンや接触も散見され、中には真横を向いて止まっている車両も……。ワイパーが再び忙しく動き、ウォータースプラッシュもあがりはじめる中、タック選手も無念のコースオフからバリアへと衝突。マシンはこのアクシデントによってミッションにダメージを受けてしまい、悔しいリタイアという結果になってしまった。
一方、SP9-Amクラスの36号車は手堅い走りで土曜日のパート1、そして日曜日のパート2を走りきり、こちらはクラス優勝を飾ることに成功した。