【パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム / アメリカ・コロラド州】
伝統のヒルクライム「パイクス」は102回目の大会を開催、ヨコハマタイヤを装着するマシンが4つのクラスで優勝を飾った!!
Pikes Peak International Hill Climb
開催日 | 2024年6月19日-23日 |
---|---|
開催場所 | パイクス・ピーク (アメリカ・コロラド州) |
天候 | 決勝 : 晴れ |
路面 | 決勝 : ドライ |
決勝距離 | 12.42miles (約19.99km) |
参加台数 | 60台 |
標高14,115フィート(4,302m)、ロッキー山脈のパイクスピークを舞台に、その頂上に設けられたフィニッシュを目指す伝統の一戦「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(PPIHC)」が今年も盛大に開催された。102回目を数え、北米のモータースポーツではインディ500と並ぶ長い歴史を刻んでいる大会は、1台ずつが山頂を目指して駆け上がり速さを競い合う。“The Race to the Clouds (雲に向かうレース)”として親しまれ、親子三世代に渡って選手やオフィシャルとして参加しているというケースも見られる。
日頃は観光道路であるコースには、156のコーナーが選手を待ち構えている。かつては舗装されていないグラベルでの戦いだったか、徐々に道路整備が進んで舗装区間の割合が増えていき、2012年には全線が舗装化された。これによってタイムは大幅な向上がなされ、さらに内燃機関に対して高地での環境に左右されない電気自動車が近年では速さを見せている。
そんなPPIHCにヨコハマタイヤも長く参戦を続けており、2020年から2023年の4年間で3回の総合優勝を達成している。さらに電気自動車での参戦も先駆者の一人であり、当時の最速記録を樹立するなど輝かしい戦績を残してきた。
2024年大会において、大いに注目を集める存在となったのがHyundai Motor Companyの参戦だ。マシンは電気自動車の「IONIQ 5 N」で、市販ハイパフォーマンス仕様をPPIHCの競技用に仕立てたものと、さらに「TA Spec」としてソフトウェアチューニングによりパワーアップを施し、ワイドボディとエアロパーツで武装した仕様がエントリーリストに名を連ねた。
これらに装着されたのはヨコハマタイヤ、「TA Spec」を「ADVAN A005」が、「IONIQ 5 N」を「ADVAN Sport V107」が足元から走りを支えていく。そしてステアリングを握ったのは「TA Spec」がWRC(FIA世界ラリー選手権)での優勝経験も有するダニ・ソルド選手と昨年のPPIHCではヨコハマタイヤを装着するテスラをドライブしたランディ・ポブスト選手、「IONIQ 5 N」はロン・ザラス選手となった。
これらHyundai 勢はExhibition部門への参戦となるが、ほかにも各部門にヨコハマタイヤ勢が参戦。そのうちFIA GT4車両による部門は昨年までポルシェのワンメイクだったが、今年はメーカーが自由化されてPikes Peak GT4 Trophy by Yokohama 部門となった。これによりポルシェに加えてトヨタ・スープラ、フォード・マスタングも出場、この部門はヨコハマタイヤのワンメイクとなり車種間バトルも見どころのひとつとして注目を集めた。
走行は6月18日(火)から4日間にわたる練習/予選が行われるスケジュールで、コースを3分割して各セクションを日替わりで部門ごとに走行していく。初日のロワーセクションではソルド選手が4分01秒514を記録してExhibition部門のトップタイムをマーク、これにザラス選手が2番手で続いてHyundai 勢が遺憾なく速さを見せつけた。
2日目は悪天候によりアッパーセクションでのタイムアタックが叶わない状況となったが、ミドルセクションは影響が少なくExhibition部門ではソルド選手が前日に続いて部門のトップタイムを叩き出した。3日目も厳しいコンディションが続き、タイムスケジュールは変更を余儀なくされる展開に。そんな中、5台のヨコハマタイヤ勢がファスト15にその名を刻む結果を残した。
そして21日(金)の夕方からは、コロラドスプリングスの市街地で恒例の「ファンフェスト」が催され、今年もPPIHCを楽しみにしていた大勢の市民が来場。ドライバーは気さくにサインや写真撮影に応じ、年に一度のお祭りで街は大いに賑わいを見せた。
ここまで天候の影響を少なからず受けてきた第102回のレースウィークだが、決勝が行われた23日(日)はコンディションが回復。山頂でも青空が広がる中、7時30分にいよいよ競技がスタートした。コース上でのトラブル車両の発生などで赤旗が提示されて走行が中断となる場面もあったが、ヨコハマタイヤで戦う各選手はそれぞれに快走を披露。
Exhibition部門ではレースウィークを通じて好調さを見せたソルド選手が9分30秒852で山頂まで駆け抜け、電動改造SUV/クロスオーバー車のコースレコードを樹立して優勝を飾った。準優勝はポブスト選手で、大ベテランが急遽の参戦ながら実力を存分に発揮する結果に。そして3番手はザラス選手となり、こちらは電動量産SUV/クロスオーバー車のコースレコードを打ち立てた。
このほか、Open Wheel部門ではコール・パウエルソン選手が優勝。レースウィークの直前に車両変更を余儀なくされたが、「2021 Sierra Alpha 」を巧みに操って9分33秒222の部門トップタイムをマークした。Time Attack 1 部門を制したのはデビット・ドナヒュー選手、ル・マン24時間での優勝経験も有する大ベテランが強さを見せた。
そしてヨコハマタイヤのワンメイクで競われるPikes Peak GT4 Trophy by Yokohama 部門を制したのは、トヨタ・スープラGT4を駆ったローラ・ヘイズ選手。そのタイムは10分20秒487で、これは女性ドライバーによる4輪車での最速記録となった。
Text : 斉藤武浩(Takehiro Saito / office North-Star)