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【NLS(Nürburgring Langstrecken-Serie) 第5戦 / ドイツ・ニュルブルクリンク】
ヨコハマタイヤでの初レースとなったSCHERER SPORT PHXのアウディが3番手スタートから準優勝を獲得、猛追で3位フィニッシュしたTeam ADVAN x HRTのメルセデス-AMGと揃って表彰台を飾った!!
NLS Round 5
開催日 | 2024年10月19日 |
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開催場所 | ニュルブルクリンク (ドイツ) |
天候 | 公式予選 : 雨 決勝 : 曇り 時々 雨 のち 晴れ |
路面 | 公式予選 : ウェット 決勝 : ウェット&ドライ |
決勝時間 | 4時間 (1周=24,358m) |
2ヶ月半ほどのインターバルをはさみ、2024年のNLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)は終盤戦に突入。第5戦は10月19日(土)に、4時間の決勝レースで競われた。
今シーズンこれまで、最高峰のSP9クラスにはTeam ADVAN×HRTからメルセデス-AMG GT3が参戦しているが、今回はさらにScherer Sport PHXのアウディ・R8 LMS GT3 EVO2が加わった。去る6月1日から2日にかけて開催されたニュルブルクリンク24時間レースで勝利したScherer Sport PHXがヨコハマタイヤを装着してNLSに挑戦する。
ともにSP9 Proクラスに参戦するヨコハマタイヤ勢、Team ADVAN×HRT はデニス・フェッツアー選手/ミケーレ・ベレッタ選手/ユスフ・オウェガ選手の3選手がステアリングを握る。24時間レースとNLS全戦でヨコハマタイヤと戦ってきているフェッツァー選手、第3戦で起用され3位表彰台獲得にも貢献したオウェガ選手、そして今回加わったベレッタ選手は2020年から連続でニュルブルクリンク24時間レースへの参戦も続けている実力派の29歳である。
Scherer Sport PHXは、1999年に設立されたフェニックスレーシングが母体となる。チームはDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)やFIA GT選手権など幅広い活躍を続けており、2009年からはアウディのファクトリーサポートチームとなっている。活躍の舞台にはもちろんニュルブルクリンクも含まれており、24時間レースやNLSを通じても広く存在感を見せている。
そして今回、新たにヨコハマタイヤを装着して参戦するScherer Sport PHX、アウディ・R8を駆るのはフランク・スティップラー選手とニコ・バスティアン選手のコンビ。18歳からレースキャリアをスタートさせ、現在49歳のベテランとなるスティップラー選手はこれまでにニュルブルクリンク24時間レースで3回、NLSでは前身のVLN時代を含め15回の優勝を手中におさめている。一方のバスティアン選手は34歳、かつて2014年には当時ヨコハマタイヤのワンメイクだったADAC GTマスターズに参戦するなど、ツーリングカーレースの経験が豊富なドライバーだ。ニュルブルクリンク24時間レースには2011年に初参戦、その後はSP9クラスで10回の出場を重ねているが、アウディのGT3マシンを駆るのは今回が初めてとなる。
第5戦が開催された日は、厚い雨雲が上空を覆う天候で始まった。雨が降りしきる中でセッションが始まった公式予選、コースインしたマシンのワイパーは忙しく動き、ヘッドライトの光が路面の水に反射するタフなコンディションの中でアタックランが始まる。ニュルブルクは最低気温が4℃にまで冷え込み、このあとに記録された最高気温も11℃に留まったため、午前中の予選セッションは特に難しい展開となった。
そんな中、バスティアン選手が駆るアウディは計測2周目で9分51秒592と総合2番手のタイムをマーク。続くラップでは9分47秒320へとタイムアップを果たし、マシンをスティップラー選手につないだ。スティップラー選手はコンディションをチェックしながら安定した走りで周回、ウェット路面に足をすくわれることも無く予選セッションをノーアクシデントで終え、総合3番手の決勝スターティンググリッドを獲得した。
一方のメルセデス-AMGはオゥエガ選手からコースイン、計測2周でベレッタ選手に交代。こちらもタフな路面で力走を重ねたが、若干タイムは伸び悩んでしまい10分32秒122のベストで総合21番手/SP9クラス8番手に留まった。
4時間の決勝レース、そのスタートが近づいてもスッキリしないコンディションは変わらず。雨足こそ弱まったものの、スターティンググリッドでは傘を差す人の姿も見られた。SP9クラスの各車はウェットタイヤを装着してスタートに臨んだが、この先のコンディション変化を予想するのは難しい。今回の出走は123台、ライン上から徐々にコンディションが好転する可能性も高い。
フォーメーションラップを経てローリングスタート、スティップラー選手が駆るアウディは果敢な走りで1コーナーは2番手を奪う。しかしウェットの接近戦ということもあって他車と接触、4番手へドロップしてしまう。そして接触の影響からボディとタイヤが擦れる状態となってしまい、オープニングラップを終えてピットでの修復を余儀なくされた。
3分弱の緊急ピットインとなったが、Scherer Sport PHX のアウディはここから粘り強い戦いを披露。1時間半ほどでバスティアン選手に交代すると、徐々にドライへ転じて行った路面を的確にとらえて22周目には8分01秒545のファステストラップを記録。ポジションを2番手にまで上げて最後は再びスティップラー選手がステアリングを握ってマシンをチェッカーまで運び、堂々の準優勝を獲得した。
また、21番手スタートのTeam ADVAN×HRT も見事な追い上げを披露。不安定なコンディションとなった一戦をノートラブル、ノーアクシデントで走りきり、じわじわと順位を上げて最後は太陽が顔を見せる中を3位でフィニッシュ。ヨコハマタイヤを装着する2台のマシンが総合で準優勝と3位を獲得し、表彰台を飾ることに成功した。
Text : 斉藤武浩(Takehiro Saito / office North-Star)