【SUPER GT 第3戦 / 鈴鹿サーキット】

前戦に続いての3時間レースはGT500でリアライズコーポレーション ADVAN Z がポイントを獲得、GT300はUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIが今季初の表彰台を飾った!!

SUPER GT Round 3

開催日 2024年6月1日-2日
開催場所 鈴鹿サーキット
(三重県)
天候 決勝 : 晴れ、公式予選 : 晴れ
路面 決勝 : ドライ、公式予選 : ドライ
決勝時間 3時間
(1周=5,807m)
参加台数 42台
(ヨコハマタイヤ装着車 17台)

2024年のSUPER GT第3戦は、鈴鹿サーキットが舞台。全長5,807mとSUPER GTが開催される国内のサーキットで一番コース距離が長く、海外ドライバーからも高い評価を得る難レイアウトと路面舗装の特徴から、タイヤに対しての負荷が最も高いコースのひとつといわれている。昨年の「WedsSport ADVAN GR Supra (国本雄資選手/阪口晴南選手)」による劇的な逆転勝利が記憶に新しいこのサーキットで、今シーズン2度目の3時間レースが行われた。

車両の搬入、ピットの設営が行われた5月31日(金)は上空の雲も厚く肌寒さを感じる陽気だったが、予選日となった6月1日(土)は一転して快晴。公式練習が始まる9時45分には、気温24度を示していた。日差しも強かったが、前日に少し雨が降ったことが影響しているのか、路面温度は34度とそれほど高くない中、1時間45分の公式練習が始まった。

GT500クラスは「リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生選手/名取鉄平選手)」が、GT500クラスルーキーの名取選手が専有走行で1分46秒532をマークし8位に。GT300クラスは「JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史選手/元嶋佑弥選手)」の12位がヨコハマタイヤ勢の最上位。公式練習からトップ3を独占した前戦富士大会と比べ、やや苦しい走りだしとなった。

公式予選は、Q1の名取選手が8位タイム、Q2の松田選手が9位タイムを記録し、「リアライズコーポレーション ADVAN Z」がシングルポジションの9位に。「WedsSport ADVAN GR Supra」はQ2で阪口選手が松田選手に迫るタイムを記録したものの、総合結果は12位となった。

GT300クラスは「UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章選手/ロベルト・メリ・ムンタン選手)」がQ1とQ2の合算結果で5位に。公式練習は15位と後れを取っていたが、予選までにチームが車両セッティングを見直し、片山選手、ロベルト選手もそれに応えて力走。決勝レースに向けて5番グリッドを手に入れたのだった。

一夜明けた決勝日、鈴鹿サーキットには雨の予報が出ていた。降雨のタイミングも昼ごろとされていたが、実際は決勝レースに向けたウォームアップ走行が行われる正午頃から強い雨が降り始めた。路面はたちまちウェットコンディションになり、ここまで天気に恵まれドライコンディションでしか走行していなかった各チームは、あわただしく準備を進めていく。タイヤの皮むきやセッティングの調整などでピットに戻ってくる車両も多く、ピットロードは大混乱の様子。それでもなんとか、大きなアクシデントもなく20分の走行を終えると、いよいよスタート進行が始まった。

すると、そのタイミングで上空の雲間から日差しがさし始めた。雲の切れ間は「一気に」という表現がぴったりとはまるほどに急激に広がり、天気は一気に回復。各車がスターティンググリッドに着くころには、再び青空が広がるようになっていた。路面の水も一気に蒸発し、ドライコンディションへと変わっていく。今度はピットロード上でタイヤ交換やセッティングの調整など、あわただしく作業が行われていった。

各車がスリックタイヤを装着して13時30分にフォーメーションラップがスタート、3時間レースが幕を開ける。先が長いレースだからなのか、序盤はあまり激しいバトルもなく周回が進んでいく。「リアライズコーポレーション ADVAN Z」は松田選手がスタートドライバーを務め、7周目に1台をかわして8番手に浮上。前方4台が1秒を切る差の中で競っている集団の中で、わずかなミスも許されない周回が続いた。かわしたはずの1台も後ろから迫り、松田選手は必死にブロック。なんとかしのぎきると29周を終えてピットに向かい、名取選手へと交代した。

第2スティントを任された名取選手は、序盤ペース良く周回。他車がピットインしていったこともあり、ポジションは一時6番手まで浮上した。ただ、第2スティントの終盤はペースダウンに苦しみ、49周目までは何とか後ろからの猛追をしのいでいたものの、徐々にポジションも下がっていく。60周を終えるところで2回目のピット作業に向かい、再びドライバーを交代して最終スティントは松田選手に託された。タイヤを交換した「リアライズコーポレーション ADVAN Z」は暫定9位で戦列に復帰すると、63周目に1分49秒958のベストタイムを記録。これは全体でも5番目に速いタイムとなった。

その後もプッシュの手を緩めることなく周回を進めたが、前を走る車両をとらえるところまでは届かず、3時間を走破し9位でチェッカー。終盤のポジションアップはかなわなかったがシングルフィニッシュで今季初ポイントを獲得した。「WedsSport ADVAN GR Supra」はスタートドライバーの国本選手がダブルスティントを担当。最終スティントで阪口選手につなぎ、トップから1周遅れの12位でチェッカーを受けた。

GT300クラスは、5番手スタートの「UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI」がスタートで1台をかわして4番手に上がると、序盤からペース良く周回。スタートドライバーの片山選手が30周を走行してロベルト選手に交代した。途中、タイヤ無交換作戦で逆転を許したが、最終スティントではフレッシュタイヤを武器にこの相手を猛追。69周目のヘアピンコーナーで隙をついて先行し、3位に浮上した。

残り時間は30分でさらに上位も狙ったが、3位争いの間に上位2台とのギャップは広がってしまい、さらなるポジションアップはかなわず。それでも、今シーズンは開幕戦10位、第2戦13位となかなか苦しいレースが続いた中で嬉しい初表彰台となった。

Drivers’ Voices

松田次生 選手 (リアライズコーポレーション ADVAN Z)

【今回の成績 : GT500クラス 9位】

今回は予選でもシングルポジションを手に入れることができ、第1スティントでは同じZ勢の中でもしっかりとバトルができましたし、タイヤも一歩一歩着実に良くなってきている感触も得られました。最終スティントも1分49秒台を出して必死に追いかけましたが、前に追いつくことはできませんでしたね。それでもなんとかポイントを持って帰ることができたので、これを1つの基盤にして、もっとパフォーマンスを上げていきたいです。2か月のインターバルにはテストもありますし、タイヤもドライバーもしっかりトレーニングして次戦に臨みたいです。

名取鉄平 選手 (リアライズコーポレーション ADVAN Z)

【今回の成績 : GT500クラス 9位】

序盤のペースは良かったのですが、中盤からはピックアップに苦しめられて思うようには追い上げることができませんでした。決勝レースはどうしてもGT300クラスのマシンをかわしながら走らないといけないので、レコードラインの外を走るとピックアップを拾ってしまいます。開幕前のテストから課題だったものが今回も大変ではありましたが、今まで戦ってきた中では一番周りと戦えたレースだったんじゃないかなとも感じています。次戦までは2か月のインターバルがありますが、その間にテストも予定しています。富士戦に向けても、シーズン後半に向けてもこのテストが非常に重要だと考えているので、今回得られたポジティブな部分を伸ばしながら、レースでの課題も克服できるようにしていきたいです。

国本雄資 選手 (WedsSport ADVAN GR Supra)

【今回の成績 : GT500クラス 12位】

鈴鹿は去年優勝できたサーキットなので、今回も力強く戦えるかと思ったのですが、去年と比べてもペースが悪く、タイヤのピックアップにも苦しみました。ドライバーもチームも、最善の作戦とできる限りのことはやっていったのですが、どんどん周りに離されていく、辛いレースになってしまいました。予選のパフォーマンスを上げて、レースでも力強い走りができるように、テストの機会も使って少しでも改善できるものを見つけていきたいです。

阪口晴南 選手 (WedsSport ADVAN GR Supra)

【今回の成績 : GT500クラス 12位】

鈴鹿戦には自信を持って臨みましたが、走り出しでトラブルが起きたりして流れが良くなかったことと、パフォーマンスがなかったです。決勝に向けても土曜日のうちにはきちんと確認できなかったので、日曜日にぶっつけ本番みたいな形になってしまいました。例年より路面温度が低かったのですが、それに対する調整ができていなかった。もともと路面温度が低い時期を苦手にしているので、それが鈴鹿でも起きてしまったと考えています。インターバルの間にテストがあるので、涼しい時期にレースを戦っていけるようないいものを見つけて、シーズン後半に生かしていきたいです。そういうものが見つかれば、結果的に暑い時期のパフォーマンスもさらに良くなると思うので、次戦以降につなげられる何かを見つけられたらと思っています。

片山義章 選手 (UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI)

【今回の成績 : GT300クラス 3位】

得意のスタートで1台を抜いてからは、うまく上位についていくことができました。公式練習ではデグラデーションもありレースでのペースに少し不安があったのですが、実際のレースではそんな心配もなく、周りと戦うこともできました。ロベルト選手のスティントも、ニュータイヤでいいタイムが出ていましたし、安心して追い上げていってくれるのを見ていました。ここまで2戦が苦しかったので、今回の表彰台獲得は本当にうれしいです。

ロベルト・メリ・ムンタン 選手 (UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI)

【今回の成績 : GT300クラス 3位】

(タイヤ無交換作戦で逆転された)31号車をオーバーテイクするまでに、だいぶ時間がかかってしまいました。その間にタイヤも使ってしまったし、上位の2台にもギャップを広げられてしまったのが残念です。僕たちの今日のパフォーマンスを考えると、あのバトルをもう少しスムーズにできていたら上位2台にも近づいて行けたでしょう。とても満足できるレースができて、結果も出すことができてうれしいです。

Engineer’s Voice

白石貴之 [横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発1グループ・リーダー]

前戦の反省と4月に行った鈴鹿テストの結果を反映したタイヤを持ち込みましたが、24号車は車両のセットアップも検討していただいたこともあり、これまでと比較して戦えた部分があったのかと考えています。この時期にしては低い路面温度だったなか、ウォームアップ性能に関して改善が見られた部分はポジティブですが、タイヤに厳しいコースでのロングラン性能という点ではまだ不足している部分もあり、車両とタイヤを合わせたパフォーマンスとしては昨年に比べてもまだ足りないので、この先のテストでその部分を改善していきたいです。19号車に関しては、昨年優勝していることもあり期待と自信はありましたが、やはり低温だったことが影響しピックアップの症状がかなり出てしまいました。このピックアップに関しては24号車からも言及があり、単純に温度の問題なのかそれ以外の問題なのかを検証しつつ、コンパウンドと構造の両面から対策をしていく必要があると考えています。

GT300クラスも例年より低温になったことが影響したと考えています。また、構造の変更によってコンパウンドの作動に影響を与えてしまった部分もあると分析していますが、そんななかでも6号車は公式練習の間にタイヤに合わせたセットアップをいち早く対応していただけたことが結果につながったのではないかと思っています。

ここから次戦までは2か月のインターバルがありますが、両クラスともテストが予定されています。GT500クラスはシーズン前半戦の課題の払しょくに向けて、コンパウンド、構造の両面から今年の車両特徴にさらに合ったタイヤを探り、夏場のレースに対策品を投入できるように進めていきます。GT300クラスは車種が多いためそれぞれ目的は異なりますが、複数の車種で同じように出ている課題もあるので、優先順位も考えながら、各車がさらにパフォーマンスアップできるように対策をしていきたいと思っています。

Text : 浅見理美(Satomi Asami)
Photo : 小笠原貴士(Takashi Ogasawara) / 佐々木純也(Junya Sasaki)

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