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【NLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ) 第6戦 / ドイツ・ニュルブルクリンク】
予選でクラッシュを喫して最後列スタートとなったヴァルケンホルストの34号車、チーム一丸となっての見事な逆転劇で第4戦以来となる今季3回目の総合優勝を飾った!!
NLS Round 6
開催日 | 2023年9月9日 |
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開催場所 | ニュルブルクリンク (ドイツ) |
天候 | 公式予選 : 晴れ 決勝 : 晴れ |
路面 | 公式予選 : ドライ 決勝 : ドライ |
決勝時間 | 6時間 (1周=25,877m) |
2023年シーズンの折り返し点となった第5戦からおよそ2ヶ月の長いインターバルをはさみ、NLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)は天王山とも言える週末を迎えた。第6戦と第7戦は同じ週末で土曜日と日曜日に、それぞれ6時間の決勝レースで競うスケジュールとなる。
昨年の決勝は6時間×2パートで、各パートの間に車両保管をはさみ合計の12時間で勝負を決するというフォーマットが採用されていたが、今年は別々のレースとして2日間それぞれで競われる。もちろん決勝のスターティンググリッドを決する公式予選も土日とも行われ、チームにとっては忙しい週末を迎えることとなった。
ヨコハマタイヤとともにNLSへのチャレンジを続けているヴァルケンホルスト・モータースポーツからは、最高峰のSP9クラスに3台のBMW・M4 GT3がエントリー。SP9 Proクラスには、34号車がクリスチャン・クログネス選手とヤコブ・ギエルマジアック選手のコンビ、35号車はトーマス・ノイバウアー選手とニクラス・クルッテン選手、ダイラン・ペレイラ選手というトリオでの参戦。さらにSP9 Pro-Amクラスには、36号車でヨルグ・ブリューワー選手/キャリー・シュライナー選手/チャールズ・ウィールツ選手/クリスチャン・ボルラス選手の4人が挑む。
9月9日(土)の第6戦は、8時から100分間の公式予選を行い、決勝は15時30分にスタートする。フィニッシュは21時30分の予定で、6時間のレースは終盤がナイトセッションとなる。天候は朝から気持ちよい青空が広がり、予報でも週末を通じて好天に恵まれる可能性が高い。この週末は、“ニュルウェザー”とも呼ばれる変わりやすい空模様に翻弄されることは無さそうだ。
ドライコンディションで迎えた公式予選、眩しい朝日が降り注ぐ中でヴァルケンホルストの3台が開始から5分を待たず早々にコースイン。34号車はギエルマジアック選手、35号車はペレイラ選手、そして36号車はウィールツ選手が、それぞれステアリングを握った。しかし、34号車はアウトラップのセクター3でコースオフを喫してしまい、マシンにダメージを受けてタイムを残すことが叶わず。チームは決勝スタートまでの短い時間で戦列へ復帰させるべく、一丸となって修復作業にあたることとなった。
予選終了からおよそ5時間、14時30分に決勝コースインが始まった。決勝への出走なるか心配された34号車も無事に修復が叶い、SP9クラスが属するグループ1の最後列グリッドへとマシンを進めていく。一方、35号車は総合5番手、36号車は同16番手のグリッドから、それぞれ6時間の決勝スタートを迎える。空模様は朝から変わらず晴天、グリッドでスタートを待つ車の多くはフロントの窓にサンシェードをつけ、暑さも感じる中でその時を待った。
1周のフォーメーションラップを経て定刻通りに決勝がスタート、35号車はオープニングラップの2コーナーでCUP2クラスのポルシェをかわすと、グランプリコースのうちにSP9 Pro-Amクラスのメルセデス-AMGもパスして3番手に浮上。さらに終盤のデッティンガーヘーエでスリップストリームも巧みに使ってアストンマーティン・ヴァンテージもかわして2番手を奪ったが、マイナートラブルに見舞われて、そのままピットインを強いられてしまった。
一方、最後列からギエルマジアック選手が駆る34号車は猛追を見せ、3周を終えて総合7位、5周を終えて6位と順位を上げていった。そしてスタートから1時間を迎えようとする6周を終え5番手で1回目のピットイン、ドライバーはギエルマジアック選手が2スティント連続でステアリングを握り迅速な作業でコースへ復帰した。翌周には他の上位陣もピットイン、9周を終えて34号車は3番手にまでポジションを回復すると、10周目には同じSP9 Proクラスを戦う3号車のポルシェ・911 GT3Rもかわして2番手を奪い、トップを行く5号車のアウディ・R8との差を31.054秒とした。
なおもギエルマジアック選手の快走は続き、5号車との差をどんどん詰めていく。12周を終えて15秒あまりの差となったところで5号車が2回目のピットイン、最後尾スタートから2時間を待たずして遂に34号車は総合トップの座へと上り詰めた。そして14周を終えて行った2回目のピットインでステアリングを受け継いだクログネス選手も気迫に満ちた走りで、ライバルを圧倒するラップを刻んでいく。
レースが折り返しを過ぎた18時40分、21周を終えて34号車は3回目のピットイン。再びギエルマジアック選手がコクピットへおさまり戦列に復帰、そして4時間経過を前にした25周終了時点でライバル勢より早めとなる4回目のピットインで34号車は再びクログネス選手がドライブする。
アイフェルの森は夕陽が沈み始め、徐々に闇が支配を始めた。残り1時間30分の時点で34号車は堂々の総合トップ、2位の3号車・ポルシェには24.5秒差をつけている。日が暮れて気温や路面温度も下がっていく中、ライバルの中にはスピンを喫する車両も現れた。一方で34号車はその走りをヨコハマタイヤがしっかり支え、後続との差をどんどん拡げていく。
30周を終えて28.621秒だった3号車との差は、33周を終えて44.235秒にまで拡大。そして5回目のピットインを行った後に迎えたファイナルスティント、クログネス選手の快走は夜の帳が下りてもなお変わることなく、35周目には8分29秒154のファステストラップを刻む。また、35号車も同じ周回で自己ベストラップをマーク、ライバル勢が序盤で刻んだのとは対照的にヨコハマタイヤ勢はナイトセッションでの安定した速さも光る結果となった。
クログネス選手がファステストラップを刻んで間もなく、ニュルブルクリンクの空に花火が打ち上がった。その美しい大輪の光に導かれるように34号車は栄光のチェッカーフラッグを受け、2位に1分26秒623の大差をつけて今季3勝目をマークすることに成功。ライバルのポルシェ勢を従えて表彰台の真ん中を獲得したクログネス選手とギエルマジアック選手が、最後尾スタートからの劇的な逆転で速さと強さを見せる結果となった。
また、惜しくもトラブルに見舞われた35号車も、力走を重ねて1周遅れの総合7位/SP9 Proクラス6位でフィニッシュ。36号車は残念ながら、4時間を過ぎたところでリタイアした。
Drivers’ Voices
ヤコブ・ギエルマジアック 選手 (ヴァルケンホルスト・モータースポーツ)
【今回の成績 : SP9 Proクラス(総合) 優勝】
日が沈んだ後、暗闇に包まれたファイナルラップは雰囲気が良くて楽しかったです。最後はクログネス選手がドライブしてウィニングチェッカーまで運んでくれましたが、最適なドライバーが最適なタイミングでコクピットにいましたから、何も心配する必要はなかったです。自信を持って、今季3回目の勝利を持ち帰ることが出来ました。
Text : 斉藤武浩(Takehiro Saito / office North-Star)