【ニュルブルクリンク24時間 Qualifiers Race1 / ドイツ・ニュルブルクリンク】

冷たい雨の中でスタートを迎えた2時間のレース、ナイトセッションでニュルの魔物が牙を剥きチームはレースから退く決断を下した

24h Nürburgring Qualifiers Race1

開催日 2023年4月22日
開催場所 ニュルブルクリンク
(ドイツ)
天候 公式予選 : 曇り
決勝 : 雨 のち 曇り
路面 公式予選 : ドライ
決勝 : ウェット~ハーフウェット
決勝時間 2時間
(1周=25,378m)

2023年は5月18日(木)から21日(日)にかけて開催される「ニュルブルクリンク24時間レース」、その前哨戦ともいえる予選レース(Qualifiers)が4月22日(土)と23日(日)に開催された。一ヶ月後の24時間レースに向けて貴重な走行の機会となる大会は、土曜日に夜間走行を含めた2時間レース、日曜日には日中の4時間レースが催された。

ヨコハマタイヤとともに戦うヴァルケンホルスト・モータースポーツからは、SP9 ProクラスにNLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)の第2戦から「ADVAN」カラーをまとう2台と、SP9 Pro-Amクラスに1台の、合計3台のBMW・M4 GT3がエントリー。

まずは2時間で競われるレースに各車2人ずつのドライバーが出場、SP9 Proクラスの101号車は今シーズン初めてステアリングを握るクリスチャン・クログネス選手と、NLS第2戦の優勝における立役者の一人であるヤコブ・ギエルマジアック選手が登録された。同じクラスに出場の102号車、こちらはアンディ・ソウセック選手とイェンス・クリングマン選手というラインアップ。そしてSP9 Pro-Amクラスの100号車は、チームオーナーであるヘンリー・ヴァルケンホルスト選手とサミ-マティ・トロゲン選手のコンビで参戦した。

カレンダーは4月の後半になったが、ニュルブルクリンクは寒さの厳しいレースウィークを迎えた。北緯50度に位置するニュルブルクリンクは、日本でいえば北海道最北の稚内市よりも北に位置している。なんと木曜日には吹雪模様となり、雪が積もることは無かったものの厳しい寒さは土曜日のレース当日も続くこととなった。

現地時間の12時30分から行われた公式予選は60分間、曇り空ではあったがセッションを通じて路面はドライコンディション。予選に先立って4,638mのグランプリコースで行われたフリー走行では僅差の2番手タイムをマークしている101号車は、クログネス選手が終盤のアタックでマークした8分19秒306がベストタイムとなり9番手という結果に。102号車はセッション中盤を過ぎてクリングマン選手が8分20秒043をマーク、101号車に続く10番手となった。また、100号車はトロゲン選手がセッション終盤で8分21秒715をマーク、こちらはSP9 Pro-Amクラスの2番手という結果になった。

予選のチェッカーが出されたのは13時30分、ここから2時間の決勝レーススタートまでは6時間という長いインターバルのタイムスケジュール。この長いインターバルは“曲者”で、なんと上空から雨粒が落ち始めてしまったのだ。雨足はそれほど強くなかったものの、シトシトと降り続けてコースを黒く濡らしてしまった。

こうしてドライの予選からコースコンディションはウェットへと変化、ウェット宣言も出された中で各車は決勝スタートへ向けてマシンをコースへと進めて行った。19時ちょうどに10分前ボードが提示されたが、グリッド上の人々はみんな厚手の上着を着込んでいる。傘は差している人とそうでない人が混在、つまり雨足はそれほど強くないということだ。しかし路面は完全に濡れているので、SP9の全車がウェットタイヤを装着してスタートを迎えた。

気温12度/路面温度14度(ヨコハマタイヤ調べ)というコンディションで、2時間の決勝がスタート。緯度が高いためまだ暗闇に包まれてはいないものの、曇天ゆえに各車のヘッドライトが眩しく感じる。101号車のスタートドライバーをつとめるのはギエルマジアック選手、予選8番手のマシンがグリッドにつかなかったため、予選順位からひとつ繰り上がって8番手グリッドからスタートした。

右ターンの1コーナーに対してアウト側の列からスタートした101号車、グランプリコースのうちにポジションを4番手にまでアップしてアイフェルの森へと進んでいく。激しくポジションを争う2番手グループは5台による接戦、1周目を5番手で終えて続く2周目もサイドバイサイドの応酬を繰り広げた。

雨足は強くないものの、先行車による水しぶきに加えて時間の経過に比例して暗くなっていくことからタフな展開が色濃くなってきている。しかし思いの外、大きなアクシデントが発生することは無くレースは進行。そんな中、100号車はヴァルケンホルスト選手が自己ベストタイムの更新を連発、好調な走りを見せていた。

レースが折り返しを迎えるころには、夜の帳が完全におりていた。そんな中、6周を終えて101号車と102号車はピットイン、クログネス選手とクリングマン選手にドライバーを交代、タイヤをスリックに交換した。100号車は1周遅れてピットイン、こちらもトロゲン選手に交代してレース後半に臨んでいく。

101号車のクログネス選手は、暗闇に包まれたアイフェルの森を果敢に攻略し、8周目に9分12秒452をマークしてファステストラップを記録。さらにその翌周には8分52秒557へと大幅にタイムアップし、自らが刻んだオーバーオールのファステストラップを更新した。

しかし、レースが残り30分を切ったタイミングで、ヴァルケンホルストの2台にニュルの魔物が容赦なく襲いかかってきた。10周を終えて101号車と102号車が揃ってピットイン、102号車はステアリングにトラブルを抱えてしまいガレージへとマシンを入れてしまった。

また、101号車はスピンを喫してしまい、マシンをチェックするためのピットインだった。深刻なダメージやトラブルには至らなかったものの、明日の4時間レースやその先に待ち構えている24時間レースに向けて不要なリスクを抱える必要は無いという判断から、チームはこの2台をレースから退かせる決断を下した。

一方で100号車は、ヴァルケンホルスト選手とトロゲン選手が安定した走りでマシンをリレー、しっかりとチェッカーフラッグを受けることに成功した。

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