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【ニュルブルクリンク24時間レース (決勝16時間経過) / ドイツ・ニュルブルクリンク】
出走した車両の半数が何からのアクシデントやトラブルに襲われるサバイバルな展開の中、102号車も夜明けに無念のリタイアを喫した
24h Nürburgring After 16hours Race
開催日 | 2023年5月20日-21日 |
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開催場所 | ニュルブルクリンク (ドイツ) |
天候 | 決勝スタート~16時間経過 : 晴れ |
路面 | 決勝スタート~16時間経過 : ドライ |
降雨のない安定した天候のままに日付は日曜日へと変わり、ナイトセッションの戦いが繰り広げられていたニュルブルクリンク24時間レース。「ADVAN」カラーをまとうヴァルケンホルスト・モータースポーツの102号車 (トーマス・ノイバウワー選手/イェンス・クリングマン選手/ジェイク・デニス選手/クリスチャン・クログネス選手)は順調にペースを保ちながら、リスクを極力冒さず4名のドライバーが結束してバトンを繋いでいた。
金曜日のトップ予選でクラッシュから大きなダメージを受けてしまった102号車だが、ヴァルケンホルスト・モータースポーツとBMWモータースポーツのスタッフが土曜日の明け方までに完璧な修理を施して、マシンは決勝スタートを迎えることが叶った。スタッフたちのためにも何としてでもチェッカーフラッグを受けるのだ、という気迫が、4名のドライバーの表情に強く表れている。
一方でチームスタッフは連日の寝不足から相当な疲労が目に見えるが、誰か一人の一瞬の気の緩みが大きなミスを招きかねないとあって、深夜になってからは次のピットインまでの僅かな時間を利用して休息につとめている。
照明のない、真っ暗な森の中を駆け抜けるニュルブルクリンク24時間レース。参加するマシンはおのおのが工夫を凝らしたライトを装着するなどして、この過酷なコースに対応する。しかし、それでさえもドライバーの視界は限られ、暗黒の中をハイスピードで走るためには集中力だけが頼りだ。そして、ここまでに数々の接触やアクシデントが生じていることから、コース上には鋭利なパーツの破片やオイル跡も散見され、夜の走行では特に非常に危険が伴う。
そんな闇の世界から徐々に空が白んでいき、アイフェルの森は明るさに包まれていく。そして同時に気温が下がり、アイフェル地方独特の冷え込みが身体を包む。美しい夜明けの空を期待するもニュルブルクリンクは霧が発生してしまい、ナイトセッションとはまた違う視界の悪さがドライバーに襲いかかる。さらに吹いている風で霧が広がり、森全体がすっぽりと包まれてしまった。
午前8時をすぎたころから、徐々に霧の合間から太陽の光が差し込むようになり、予報では最高気温が21℃まで上昇する今年一番の初夏らしい陽気となりそうな日曜日。
しかし、霧に包まれたコースサイドに、102号車がまさかのストップ。ノイバウワー選手がドライブするスティントだったが、コースサイドの縁石に乗った際に車体の下回りをヒットしてしまった。この影響でエンジンを破損、油圧が低下したためにこの先を走ることは許されない状況となってしまった。
2台の「ADVAN」カラーをまとうマシンは、ともに不運とも言えるアクシデントにより戦列から離れることを余儀なくされた2023年のニュルブルクリンク24時間レース。その過酷さをあらためて知らされる悔しい結果となったが、難しい舞台だからこそ次なる挑戦への闘志をドライバーとスタッフの誰もが胸に刻むこととなった。
SP9 Pro-Amクラスに出場している100号車(ヘンリー・ヴァルケンホルスト選手/ヨルグ・ブリューワー選手/クリスチャン・ボルラート選手/サミ-マティ・トロゲン選手)は、ナイトセッションでトロゲン選手が好走を見せるなど、ドライバー陣が息のあったリレーを展開。
コース上でアクシデントが多発し、路面もスリッピーな箇所が多い中で慎重なレース運びを見せ、サバイバルな展開の中でしっかりコース上に留まりポジションをアップさせている。
Driver’s Voice
サミ-マティ・トロゲン 選手 [BMW M4 GT3 (100号車) SP9 Pro-Amクラス]
ナイトセッションでは極力トラブルやペナルティを受けないように慎重に全ドライバーが協力した事が功を奏しました。トラック上では数多くの危険な箇所が見られ、ナイトセッションを乗り切る事は決して容易ではありませんでした。
一夜を無傷で乗り切ることができたのは、このレースにおいて必要なステップだったと思いますし、ゴールを目指す上では非常に重要でした。