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【ニュルブルクリンク24時間レース (決勝8時間経過) / ドイツ・ニュルブルクリンク】
102号車も総力を挙げた修復作業によってスタートを切った24時間レース、しかし101号車が夜の訪れとともに無念の戦線離脱を喫した
24h Nürburgring After 8hours Race
開催日 | 2023年5月20日-21日 |
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開催場所 | ニュルブルクリンク (ドイツ) |
天候 | 決勝スタート~8時間経過 : 晴れ |
路面 | 決勝スタート~8時間経過 : ドライ |
サーキットの上空はやや雲が多いものの、穏やかな陽気に包まれて決勝スタートの時を迎えた第51回 ニュルブルクリンク24時間レース。レースが行われる土曜日と日曜日の天気予報によると降水確率は低いものの、ここは「グリーンヘル(緑の地獄)」という異名をもつニュルブルクリンク。アイフェル地方の森の中にたたずむサーキット、その天候は「ニュルウェザー」とも称されるように、天気予報さえもあまりあてにならないほど変化に富んでいる。
金曜日のトップ予選には3台揃って進出したヴァルケンホルスト・モータースポーツのBMW・M4 GT3だが、そのうちの102号車 (トーマス・ノイバウワー選手/イェンス・クリングマン選手/ジェイク・デニス選手/クリスチャン・クログネス選手)は不慮のコースオフからクラッシュを喫してしまった。車体のダメージは小さくなかったが、ニュルブルクリンクの近郊に拠点を置くフリカデリレーシングの好意により、ファクトリーを借りての夜を徹して修復作業に勤しんだ。その結果、少しずつ空が明るくなり始めた午前4時過ぎに作業を終えてピットへ無事にマシンは戻ってきた。
現地時間の16時にスタートとなる24時間レース、そのスターティンググリッドは居並ぶレーシングマシンの姿が見えないほどに大勢の観客で埋めつくされた。
やや強めに吹く風が雲を運ぶのか、太陽は隠れて曇り空となった16時。ノルドシュライフェをぐるりと囲み、キャンプをしながら応援するファン、そしてグランドスタンドには溢れんばかりの観客、その数は合計25万人以上という大歓声が轟く中、51回目を数えるニュルブルクリンク24時間レースは戦いの火蓋が切られた。
今年は130台以上がエントリーしたニュルブルクリンク24時間レース、スタートはクラス別に3つのグループに分けられる。FIA GT3マシンのSP9クラスにエントリーをするヨコハマタイヤを装着したヴァルケンホルスト・モータースポーツの3台のBMW・M4 GT3は、100号車(ヘンリー・ヴァルケンホルスト選手/ヨルグ・ブリューワー選手/クリスチャン・ボルラート選手/サミ-マティ・トロゲン選手)は10列目19番手、101号車(クリスチャン・クログネス選手/ヤコブ・ギエルマジアック選手/イエッセ・クローン選手/アンディ・ソウセック選手)は14列目27番手、102号車は16列目32番手からのスタートとなった。
世界最大の草レースと称されたのは、昔のはなし。現在も数多くのアマチュアとの大混走のレースであるものの、有力ワークスチームも参戦して24時間はスプリント色も濃くなり、かつて以上に激しい戦いとなっている。
昨日のトップ予選でのクラッシュにより、第1グループの最後部スタートとなった102号車。最初にステアリングを握ったクリンギマン選手はミスなく着実に1ラップ毎を丁寧に走り抜き、スタートから1時間半を経過する時には総合11位にまでポジションを上げ、好調な走りをみせる。
レースが6時間を迎えようとする22時前、辺りは暗くなり“魔物が棲む”とも言われるナイトセッションに入ってまもなくのことだった。プランツガルテン付近で101号車をドライブするソウセック選手がアマチュアチームのポルシェを追い越す際に接触してしまい、自車のフロント右側のサスペンションを破損。そのままスロー走行でピットへ戻り、緊急修理の準備をピットで整えていたメカニックが即座に修復に取りかった。
約20分のタイムロスとなるも、メカニックたちの迅速な対応で再びコースへ復帰した101号車。しかし、その僅か数分後にはコースサイドで停まってしまい、日付をまたぐことなく戦列から離れることとなってしまった。
ドイツの初夏は日没が遅く、20日(土)は21時20分頃だ。日中は厚い雲に覆われた時間も長かったが、雲に隠れる事なく姿を見せた美しい夕陽をバックにレースを楽しむファンの熱気は日が暮れても冷めることが無い。一方で、暗くなるにつれてコース上の視界が悪くなるだけに、徐々に接触やミスが増えてくることから、ドライバーには高い集中力が要される。
23時を過ぎるとコースサイドでファンによって花火が打ち上げられ、そのファンの熱狂ぶりも最高潮に盛り上がる。気温は10℃まで下がっているが、真っ暗闇に轟くエキゾーストノートとファンたちが大音量で流す音楽や焚火の炎に「グリーンヘル」が昼間とは違う顔を見せる。無念の結果となった101号車のためにも、チームメイトである100号車と102号車が好成績を目指して「グリーンヘル」を夜を徹して駆け抜けていく。
レース開始から8時間が経過した現地時間の午前0時時点で、100号車は総合29位、102号車は総合7位まで追い上げている。力強い走りを見せながら過酷なニュルブルクリンクへの挑戦を続けるヴァルケンホルスト・モータースポーツに、このあとも期待が高まっている。
Driver’s Voice
トーマス・ノイバウワー 選手 [BMW M4 GT3 (102号車) SP9 PROクラス]
私たちはかなり良いペースで順調に周回を重ねています。ライバルチームたちに比べ、タイヤのデグラデーションがない事は私たちのアドバンテージで、コーナーでかなり強くプッシュできています。
恐らくストレートを除いて、ノルドシュライフェのすべてのコーナーで私たちは速いです。
この勢いを維持し、ミスをせず今いるグループに留まって、翌日の夜明けをなんとしてでも見なければなりません。ドライブフィーリングは非常に素晴らしく、チームクルーたちは明け方まで掛かって本当に素晴らしい仕事をしてくれて大変感謝しています。