【SUPER GT 第2戦 / 富士スピードウェイ】

完璧なレース運びを見せた「リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R」が、大観衆の見守る中でポール・トゥ・ウィンを飾った!!

SUPER GT Round 2

開催日 2023年5月3日-4日
開催場所 富士スピードウェイ
(静岡県)
天候 決勝 : 晴れ、公式予選 : 晴れ
路面 決勝 : ドライ、公式予選 : ドライ
決勝距離 100周
(1周=4,563m)
参加台数 42台
(ヨコハマタイヤ装着車 17台)

悪天候により幕を閉じた第1戦の岡山大会から約半月。SUPER GT第2戦が富士スピードウェイで開催された。毎年ゴールデンウィークの真っただ中に行われるこの大会は、国内で最大の観客動員数を誇るSUPER GTでも一番ファンの集まるイベント。ここ数年は様々な制限が設けられていたが、今年はその制限が緩和され、予選日には3万1,600人、決勝日には4万8,600人のSUPER GTファンが詰めかけた。

このレースウィークは2日間とも好天。3月に行われた公式テストは終日ウエットコンディションだったため、どのチームもドライコンディションでのデータは揃っていない。そんなこともあってか、予選が行われる3日(水)午前中のフリープラクティスはどのチームも積極的に周回を重ね、午後に控える予選と翌日の決勝に向けて入念にマシンのセットアップを煮詰めていった。

GT500クラスは最終的に、1秒以内に14台がおさまる僅差の結果に。特に予選でQ2進出がかかるボーダーライン付近、7~9位は100分の数秒差で並んでおり、非常にシビアな戦いが予想された。GT300クラスも上位のタイムはひしめき合っていたが、その中で「リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R」は2位の「JLOC ランボルギーニ GT3」に対してなんと0.4秒という大差をつけてトップタイムをマーク。ライバルたちにプレッシャーもかけながら、ポールポジション獲得への期待が高まっていた。

その「リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R」は、予選Q1はB組に登場。前戦終了時点のランキングによって決まる組み分けは、このB組に強豪たちが揃っていたが、Q1を任された名取鉄平選手は3番手でQ1を突破。「JLOC ランボルギーニ GT3」の元嶋佑弥選手がこれを上回る2番手となり、ヨコハマタイヤ勢はこの2台がQ2進出を決めた。

この前に行われたQ1のA組には10台のヨコハマタイヤユーザーが出走し、片岡龍也選手がアタックした「グッドスマイル 初音ミク AMG」が2番手に。「DOBOT Audi R8 LMS」、「HOPPY Schatz GR Supra GT」、「Bamboo Airways ランボルギーニ GT3」、「マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号」、そして開幕戦を制し一番重いウェイトを搭載する「UPGARAGE NSX GT3」の計6台がQ2進出を決めた。

Q2は、「リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R」のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手がライバル勢を上回り、ポールポジションを獲得。過去2度の王座に輝いているオリベイラ選手だが、意外にもGT300クラスでのポールポジション獲得はこれが初めてとなる。これに、セクター3で最速タイムを記録した「グッドスマイル 初音ミク AMG」が3番手、「JLOC ランボルギーニ GT3」が6番手という結果だった。

GT500クラスは、昨年の同じく第2戦でヨコハマ勢がフロントローを独占する形となり、今大会でもその速さに期待がかかったが、昨シーズン8戦中5戦でポールポジションを獲ったヨコハマタイヤの速さに対抗すべく開発を進めてきたライバルたちが力を見せる。Q1は佐々木大樹選手が担当した「リアライズコーポレーション ADVAN Z」が3番手タイム、国本雄資選手が担当した「WedsSport ADVAN GR Supra」は7番手に滑り込み、2台揃ってQ1を突破。

Q2では昨年3度ポールポジションを獲得した阪口晴南選手が踏ん張り、「WedsSport ADVAN GR Supra」が2番手。「セクター1で大きくロスしてしまった」と振り返り、ポールポジションを狙える手応えを得ていながらの悔しい2番手ではあるが、1列目のグリッドを手にした。「リアライズコーポレーション ADVAN Z」は平手晃平選手のアタックで5番手となった。

翌日の決勝日も朝から上空は雲一つない青空が広がり、まぶしい日差しが降り注いだ。その影響か、午後1時30分の決勝レーススタート時点で気温は21度、路面は40度を記録。汗ばむほどの陽気の中、周回数100周、450kmの決勝レースがスタートした。

GT500クラスは、スタート直後の1コーナーで4番グリッドからスタートした1台がコースアウトし、その隙に佐々木選手がスタートドライバーを務める「リアライズコーポレーション ADVAN Z」が1ポジションアップ。2番手の「WedsSport ADVAN GR Supra」まで、3台が接近戦の2位争いとなった。ダンロップコーナーで「WedsSport ADVAN GR Supra」の国本選手が1台の先行を許すと、そのわずかな隙を縫って佐々木選手も国本選手の攻略に成功。「リアライズコーポレーション ADVAN Z」は3番手に上がるとその後も力強い走りを続けた。

レースの3分の1を消化するあたりで1度目のピットストップに向かうマシンが多い中、ラップタイムも大きく落ちることなく39周まで第1スティントを引っ張り暫定5番手で第2スティントへ。ここもライバルたちより多い40周を走行すると、残り21周となったところで2度目のピットインを行い、暫定3番手でコースに復帰した。誰よりもフレッシュなタイヤを装着している「リアライズコーポレーション ADVAN Z」の平手選手はベストタイムを更新しながら見る見るうちに2番手のマシンに接近。開幕戦の借りを返すべく猛プッシュで迫っていった。

ところが95周目のダンロップコーナーで、GT300クラスの競り合いに巻き込まれ、マシンにダメージを負ってしまう。戦略が機能し、ペースも良く周回を重ね表彰台獲得まであと5周というところだったが、ラジエター周りの破損でこれ以上の走行は難しく、なんとかピットまでは戻ってきたもののそのままガレージに入り、チェッカーを受けることはかなわなかった。「WedsSport ADVAN GR Supra」はノーミス、ノートラブルで450kmを走り切ったが、思うようなペースを得ることはできず、12位でのチェッカーとなった。

GT300クラスはポールシッターの「リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R」が序盤から大きくリードを広げていく展開となった。しかしこれは、今回のレースでライバルになるだろうと予測していたチームが1回目のピットイン義務を消化するために、決勝スタート早々にいったん順位を下げたためで、30周を終えて1回目のピット作業を済ませコースに戻った時点では3番手に後退してしまう。

60周を終えて2度目のピット作業を終えたところでは1台をかわして2番手を取り戻し、トップとは5秒差。最終スティントを託された名取選手は、相手に対してタイヤがフレッシュだということを武器にみるみる接近していった。71周目を終えたところで、両者の差は1.8秒。ここからは名取選手が0.2秒差を詰めると、相手も翌周にはペースを上げて0.1秒引き離す……といった息詰まる展開が続く。

この均衡が崩れたのは80周目だった。ダンロップコーナーでGT500クラスにラインを譲らなければならない場面で、トップの車両がややペースを乱してしまう。このチャンスを見逃さなかった名取選手は一気に近づくと、最終コーナーをコンパクトにまとめて並びかけ、ホームストレートでサイドバイサイドの戦いに持ち込んだ。ストレートスピードで相手に勝る「リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R」が1コーナーへ先に飛び込み、ここで逆転。再びトップへと躍り出る。

トップに出てからも2位のマシンが常に背後でチャンスをうかがい、一瞬たりとも気の抜けない終盤戦となったが、名取選手は最後までミスなく走り切り、逃げ切りでトップチェッカー。「リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R」が嬉しい今季初勝利を飾り、ヨコハマタイヤユーザーが開幕戦から2連勝を記録することとなった。

Drivers’ Voices

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手 (リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R)

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】

予選、決勝と、自分たちにとって非常にパーフェクトな週末で、シリーズポイントもフルポイント(21ポイント)を獲得することができました。これもチームの力強い仕事とヨコハマタイヤ、GT-Rの素晴らしいパフォーマンスのおかげです。チームメイトの名取選手にとってはこれがまだSUPER GTで2度目のレースですが、こんなに早く勝利を経験できたのはとても幸せなことだと思います。ウェイトを搭載して重いマシンでの戦いとなりますが、この好調さをキープしたいです。

名取鉄平 選手 (リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R)

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】

相手のタイヤもロングランが強く、接戦になるだろうなと理解して自分のスティントに臨みました。GT500クラスが絡んだチャンスを逃さず、自分が描いていたシナリオ通りに逆転できたのは嬉しかったです。ただ、トップに立ってからチェッカーを受けるまではけっこうぎりぎりでした。ウェイトは積みますが、鈴鹿はGT-Rが得意としているコースですし、ヨコハマタイヤにとってもいいレースが続いているコースなので、自信を持って頑張ります。

国本雄資 選手 (WedsSport ADVAN GR Supra)

【今回の成績 : GT500クラス 12位】

スタートしてからのタイヤのウォームアップは他と比べてもそん色なく、1周目から周りと同じようなスピードで走れましたが、そこからのペースがあまり良くなく順位を下げてしまいました。24号車のペースが良かったことを考えると、タイヤだけでなくクルマの方でも見直しながら、僕たちに合ったタイヤ選択をしていかないといけないとも感じています。非常に厳しいレースとなりましたが、次戦までのインターバルで見直せるものをしっかりと見直し、挽回していきたいです。

阪口晴南 選手 (WedsSport ADVAN GR Supra)

【今回の成績 : GT500クラス 12位】

国本選手のスティントからペースが厳しいのは分かっていましたが、僕が走っているときもそれは変わりませんでした。レース後半に向けて気温も下がり、自分たちにとって良いだろうという状況になってからもその厳しさは変わらなかったので、かなり悔しいレースになりました。去年の富士の内容を踏まえて今回に挑みましたが、トップとの差はまだあるし、詰めるべきところはまだまだ残っています。タイヤの選択の仕方、タイヤの性能を引き出せるクルマづくり、どちらも合わせてレベルアップしていきたいです。

佐々木大樹 選手 (リアライズコーポレーション ADVAN Z)

【今回の成績 : GT500クラス リタイア】

スタートしてすぐのころは気温も高く、自分たちが選んだタイヤにとってきついところもありましたが、気温が下がってくると条件としてもマッチしてきて、僕のスティント終盤もタイムが復活してきていました。ヨコハマタイヤのもちも良かったので、戦略もうまく機能して前に出ることもできました。最後は残念でしたが、全体を通して表彰台争いができていたので、ポジティブな要素の多いレースになったと思っています。

平手晃平 選手 (リアライズコーポレーション ADVAN Z)

【今回の成績 : GT500クラス リタイア】

ウォームアップも早く、ロングでもたれることがない、とてもすごい武器を手にしたような感じでのレースで、表彰台争いができていたので、最後の接触は残念だし悔しいし、チームやヨコハマタイヤの皆さん、ファンの皆さんにとても申し訳なく感じています。ただクルマとタイヤのパフォーマンスはとても高かったですし、次戦に向けても進化できると思うので、自分自身の気持ちもしっかり切り替えて頑張っていきたいと思います。

Engineer’s Voice

白石貴之 [横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発1グループ・リーダー]

24号車は終盤まで非常に力強い戦いをしていただけに残念な結果ですが、これまで課題にしていたウォームアップ性能という部分についても良くなっていることを示せたと感じています。19号車はペースが苦しかったのですが、これはタイヤ選択が24号車と違っていたというのもありますが、タイヤをどのように使っていくかという部分で、24号車の方が現時点では合っているという状態だと考えています。

56号車は安定していい成績を出していただいています。またレース中のベストラップを記録した88号車には、構造やゴムを含め新しい取り組みをしているタイヤを試していただきました。本来は開幕前の公式テストで確認しようと考えていたのですが、終日雨というコンディションになってしまったので、実際のレースでいきなりのトライということになりました。フリー走行の時点でチームからのフィードバックとしてもかなり良いということだったので、レースもいい結果になれば…と思っていたのですが、実際にいいパフォーマンスを引き出していただきました。

450kmという長い距離のレースは今シーズン5戦が予定されており、この富士からは4戦続いて長距離レースとなります。今日は比較的気温も高く、夏のレースを予想させるようなコンディションでもあったので、今回の結果をこの先のレースで活かしていければと思っています。

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