【SUPER FORMULA 第7戦 / モビリティリゾートもてぎ】

現役最多チャンピオンドライバーが復活のポール・トゥ・ウィン、山本尚貴選手がもてぎを初制覇!!

SUPER FORMULA Round 7

開催日 2022年8月20日
開催場所 モビリティリゾートもてぎ
(栃木県)
天候 決勝:雨、公式予選:晴れ
路面 決勝:ウェット、公式予選:ドライ
決勝距離 37周
(1周=4,801m)
参加台数 21台
※タイヤはヨコハマタイヤのワンメイク

2022年のSUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)も、残すところ2大会/4ラウンドとなった。前戦の富士大会から1ヶ月のインターバルを挟み、もてぎ大会の2ラウンドが開催される。今シーズン2度目となる1大会2レース制のレースフォーマットで、まず行われた第7戦は、山本尚貴選手(TCS NAKAJIMA RACING)がポール・トゥ・ウィン。2020年の第5戦鈴鹿大会以来、約2年ぶりにトップチェッカーを受けた。

夏休み真っただ中の8月中旬、子供連れのモータースポーツファンがもてぎに集まった。今年の3月に「モビリティリゾートもてぎ」と名称を変え、今大会が国内ビッグレース1つ目となる。振り返れば25年前、「ツインリンクもてぎ」という名称でオープンしたこのサーキットのこけら落としとして開催されたのが、SUPER FORMULAの前身である「全日本選手権フォーミュラ・ニッポン」だった。オープンから四半世紀を経て、新たなスタートを切るその初戦が、同じ国内トップフォーミュラレースということになる。

1大会2レース制のレースウィークは、金曜日のフリー走行から始まったが、ここで好調ぶりを見せたのが大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)。2位に着けた坪井翔選手(P.MU/CERUMO・INGING)に対して0.2秒の差でトップタイムをマークした。このままの勢いで予選も駆け抜けていくかに思われたが、気温、路面温度ともにフリー走行に比べて大きく下がった20日(土)朝の予選で最速タイムを記録したのは、チームメイトの山本選手だった。

Q1こそB組の6番手とぎりぎりでQ2進出を決めた山本選手だったが、12台で争われるQ2は、セッション終了間際のタイミングでアタックすることを狙っていたライバル勢たちがトラフィックなどでリズムを崩す中、クリアラップで確実にタイヤをウォームアップさせ、他よりも先にアタック。結果、1分30秒423と、2番手に0.3秒という大きな差をつけてポールポジション獲得に成功した。山本選手にとって、地元もてぎでの初ポールとなった。2位には、前戦富士大会でクラッシュを喫し、新車で今大会に挑むことになったサッシャ・フェネストラズ選手(KONDO RACING)。大湯選手は2台の先行を許し、悔しい3番手となった。

5時間ほどのインターバルで、決勝レースがスタート。予選後から徐々に上空の雲が厚くなり、モビリティリゾートもてぎはどんよりとした天候に。スタート進行中にパラパラと雨が落ち始め、フォーメーションラップ開始15分前にウェット宣言が出されると、各車が続々とウェットタイヤへと交換。雨脚もやや強まり、37周の決勝レースはセーフティカー(SC)先導の下でスタートすることになった。

SCは3周後に隊列を離れ、4周目からレーススピードに。ここからは、先頭で視界がクリアな状況の山本選手がレースをリードしていった。フロントロースタートのフェネストラズ選手に対し、実質のオープニングラップで早くも1.6秒のギャップを築くと、11周目には5.5秒までその差が拡大。安定したペースで周回を重ねていった。

フェネストラズ選手も、その11周目にV字コーナーでコースオフして自ら山本選手との差を広げてしまったものの、それ以外には大きな崩れもなく周回。3番手の大湯選手は2台にややおいていかれ、後ろから野尻智紀選手(TEAM MUGEN)に追い詰められる展開になっていた。さらに、13周目のヘアピンコーナーで突如スローダウン。シフトにトラブルが生じたためで、野尻選手はこの隙を逃さず3位にポジションアップする。大湯選手は、いったんはレーシングスピードに戻ったものの20周目に再度スローダウンし、たまらずピットへ。電気系のトラブルだったようで、修復を行うと周回遅れながらレースに復帰した。

代わって3番手となった野尻選手は、ハイペースでフェネストラズ選手との差を削り、19周目にはテール・トゥ・ノーズの状態にまで迫ってきた。オーバーテイクシステムを使いながら、ヘアピンコーナーで一気に接近したが、90度コーナーではフェネストラズ選手がしっかりとブロックしてポジションを死守。ウォータースクリーンの中での激しい攻防戦となった。この頃には雨脚が弱まり、路面状況が徐々に回復。野尻選手を退けたフェネストラズ選手は、この路面コンディションの変化を味方につけてペースアップし、5秒以上離れていた山本選手に接近していった。

一方の山本選手は、徐々に路面コンディションが良くなっていく中、タイヤの内圧が上がってきたことでペースが苦しくなってくる。2台の差は、25周を終えた時点で1.7秒まで近づき、ミラーで確認できるフェネストラズ選手の姿も徐々に大きくなっていった。しかし、26周目ごろから再び雨脚が変化。雨粒の大きさも、雨量も増えたことでタイヤをクールダウンすることができた山本選手は、フェネストラズ選手との差をもう一度広げ始めていた。

さらに、28周目には平川亮選手(carenex TEAM IMPUL)がビクトリーコーナーでコースオフ。車両回収のためにSCが導入されたが、これもタイヤに負荷をかけたくなかった山本選手にとっては追い風に。かくして、31周目のリ・スタートで抜群の蹴り出しを見せてフェネストラズ選手を引き離した山本選手は、残り7周を安定したペースで走り切り、実に2年ぶりのトップチェッカーを受けた。

約5時間前、もてぎでの初ポールを手にした山本選手だが、実は優勝も初めて。2021年にTCS NAKAJIMA RACINGにチーム移籍後としても初勝利で、山本選手にとって実にメモリアルな一戦となった。2位に入ったフェネストラズ選手は、平川選手を逆転してポイントランキングでも2位に浮上。3位表彰台を獲得した野尻選手は、そのフェネストラズ選手とのポイント差を30ポイントとした。

31周目のリ・スタート後、順位変動のない上位争いに代わって観客の注目を集めたのは中団のポイント獲得争いだった。SC導入を予測しタイヤ交換に入ったジュリアーノ・アレジ選手(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が、フレッシュタイヤで終盤に一気にペースアップ。ピットインで一時18番手まで後退したが、コース上で次々とオーバーテイクショーを披露した。特に、関口雄飛選手(carenex TEAM IMPUL)と繰り広げた9番手争いは、34周目にヒートアップ。S字で急接近すると、続くV字コーナーでは関口選手がラインを押さえアレジ選手をブロックする。

しかし、ヘアピンコーナーではややワイドに膨らんでしまい、アレジ選手は関口選手に並びかけてバックストレートへと入っていった。ブレーキング勝負の90度コーナーは挙動を乱しながらも関口選手がおさえこんでポジションを死守する。すると今度は、ビクトリーコーナーで再びマシンがふらついた関口選手に食らいついたアレジ選手が、1コーナーで鋭くインを刺すと、ようやく関口選手の扉をこじ開けて9番手へとポジションアップした。

その後5コーナーの手前でハーフスピンを喫してしまい、最終的には12番手フィニッシュ。SCラン中のコースオフによるタイム加算ペナルティもあり、結果的には13位となったが、この終盤の攻防戦はもてぎに集まったSUPER FORMULAファンを大いに沸かせたのだった。

Driver’s Voice

山本尚貴 選手 (TCS NAKAJIMA RACING)

【今回の成績 : 優勝】

本当に、嬉しいの一言です。スタート直前に雨が降ってきたことで、どのチームも完全にコンディションに合わせたウェットセットにはできなかったであろう中で、まずはミスをしないようにということを心掛けました。途中からコース上の水量が減ったことで苦しいこともありましたが、終盤に雨脚が強まったこととSCが入り、自分にとっていい風向きになりました。なかなかうまくいかないレースが続いていましたが、あきらめることなく頑張り続けてよかったです。

Engineer’s Voice

坂入将太 [横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発2グループ]

もてぎはコース特性としては、タイヤに対しての負荷は高くありません。同じようなウェットレースになった今シーズン第3戦鈴鹿大会と比べても、タイヤへのダメージは少なかったです。また、普段のもてぎ大会は8月中旬という時期的に非常に気温、路面温度が高く、真夏の条件下で戦うことが多いのですが、今回は予選時の路面温度が32~37度、決勝時も雨が降ってきたことで路面温度は30~33度と、それほど高くなかったので、そこは普段のもてぎ大会らしくなかったのではという印象です。

特に予選時は、その前のフリー走行と比べて10度以上路面温度が下がりました。それだけ温度が違うとタイヤのピークグリップに到達するタイミングや、維持できる時間などが変わったと思うので、それをどういう風に合わせて行くのかというのは、各チームが悩み、戦略を立てるのに大きく影響したのではないかと思います。

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ウェットコンディションでの決勝レースとなった第7戦

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第7戦 | 優勝 | 山本尚貴 選手 (TCS NAKAJIMA RACING)

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第7戦 | 準優勝 | サッシャ・フェネストラズ 選手 (KONDO RACING)

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第7戦 | 3位 | 野尻智紀 選手 (TEAM MUGEN)

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第7戦 | 優勝 | 山本尚貴 選手、中嶋 悟 監督

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第7戦の表彰台を獲得した、山本選手(中央)、フェネストラズ選手(左)、野尻選手(右)

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2022 SUPER FORMULA 第7戦

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第7戦 | 4位 | 牧野任祐 選手 (DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

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第7戦 | 5位 | 坪井翔 選手 (P.MU/CERUMO・INGING)

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第7戦 | 6位 | 山下健太 選手 (KONDO RACING)

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YOKOHAMA Tire Service

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YOKOHAMA Tire

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