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【SUPER GT 第6戦 / スポーツランドSUGO】
WedsSport ADVAN GR Supraが今シーズン4回目のポールポジションを獲得、GT300は100kg積んでなおリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rが4位入賞でランキングトップの座を守った!!
SUPER GT Round 6
開催日 | 2022年9月17日-18日 |
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開催場所 | スポーツランドSUGO (宮城県) |
天候 | 決勝:曇り 一時 雨、公式予選:曇り |
路面 | 決勝:ドライ&ウェット、公式予選:ドライ |
決勝距離 | 84周 (1周=3,586m) |
参加台数 | 42台 (ヨコハマタイヤ装着車 17台) |
9月も中盤を迎え、秋の気配を漂わせるようになった宮城県のスポーツランドSUGOがSUPER GT第6戦の舞台。レース距離も通常の300kmに戻された一戦は、サクセスウェイトが積み重なる今シーズン最後のレースでもある。果たして、ウェイトに苦しんでいないランキング下位チームによる下克上はあるのか、ウェイトをしっかり積んでなお入賞するランキング上位チームはあるのかといったところも見どころのひとつだ。
GT300クラスのヨコハマタイヤユーザーは、今回7台がQ1を突破。A組では「PACIFIC hololive NAC Ferrari」のケイ・コッツォリーノ選手がトップで、「UPGARAGE NSX GT3」の太田格之進選手が2番手と、好調な滑り出しを見せた。また、B組でも「Weibo Primez ランボルギーニ GT3」の元嶋佑弥選手が3番手につけていた。
続くQ2では松浦孝亮選手からバトンを渡された「Bamboo Airways ランボルギーニ GT3」の坂口夏月選手がヨコハマタイヤユーザーの最上位となり、これに続いたのは「Weibo Primez ランボルギーニ GT3」の小暮卓史選手。話は前後してしまうが、トップの車両に規定違反が再車検で発覚して全タイム抹消となったことで、この2台は順位をひとつずつ繰り上げて3番手と4番手を獲得。チームメイト同士でセカンドローを分け合うこととなった。松井孝允選手とペアを組む「HOPPY Schatz GR Supra」の佐藤公哉選手が、6番手を獲得。そして、何より驚くのはサクセスウェイト100kgを積む「リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R」の藤波清斗選手が、8番手につけていたことだ。J.P.デ・オリベイラ選手に積み重なったモラルハザードポイントにより決勝スターティンググリッドの4グリッド降格は決まっていたとはいえ、それでも12番手からどんなレースを見せてくれるのか大いに注目された。
GT500クラスでは、「WedsSport ADVAN GR Supra」の国本雄資選手が7番手ながらQ2進出を果たしたのに対し、惜しまれるのは「リアライズコーポレーションADVAN Z」の平手晃平選手は13番手に甘んじ、2台揃っての突破は果たせなかったことだ。しかし、その思いを阪口晴南選手が打ち破ってくれた。ラストアタックの最終コーナーで行く手を阻まれる不運がありながらも、トップタイムを記録してコースレコードを塗り替えて「WedsSport ADVAN GR Supra」は今シーズン4回目のポールポジションを獲得した。
決勝レーススタート前の気温は27度、路面温度は33度と、ここまでは狙いどおりのレンジとなっていたがスタートが近づくにつれて早朝の「秋晴れの……」といった状態から一転し、まさに暗雲立ち込めるように。さらに各車グリッドに着こうというタイミングで、小雨が降り始める。この時点ではすぐ雨はやんだのだが……。
そんな中、ショッキングなアナウンスが流される。14番手から粘り強い走りを見せてくれることが期待された「グッドスマイル 初音ミク AMG」ながら、谷口信輝選手が体調不良で出場できなくなったのだ。そのため片岡龍也選手だけが走ることになったものの、規則により2/3以上の周回は不可。それを承知で「走る姿をファンにお見せしたい」と、チームはギリギリまで走る英断を下していた。
さらにスタート直後にはアクシデントも発生。予選15番手ながら、激しい追い上げが期待された「PACIFIC hololive NAC Ferrari」の木村武史選手が後続車両に追突されて、1周目にクラッシュ。あえなくリタイアしてしまったのだ。セーフティカーが導入されるも、この段階ではレースは動かず。動かしたのは10周を過ぎたあたりから降り出した雨だ。最初はコースの一部を小雨が濡らすだけだったのが、急に勢いを増して全域の路面を濡らした。
これに対応して、13周目あたりからウェットタイヤに交換するチームが現れる中、あえてステイすることを選んだ「Weibo Primez ランボルギーニ GT3」の元嶋選手と「Bamboo Airways ランボルギーニ GT3」の坂口選手がワン・ツー体制を構築。しかし、これが裏目に出て坂口選手はコースアウトし、元嶋選手も3番手に交代した後、徐々に順位を落とす。そんな状況において、「リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R」の藤波選手は早めにタイヤを交換していたのが功を奏して、やがて2番手にまで浮上。折り返しのあたりには雨はやんで路面も乾き始めていたことから、JP選手への交代と併せて43周目にはいち早くドライタイヤに戻していた。この間に一旦は順位を落とすこととなるが、この決断もまた的確だった。JP選手はやがて5番手まで順位を戻したからだ。
終盤からはまた雨が降り始めるも、そんな状況こそJP選手の真骨頂。残り8周となった73周目に前を行く車両を抜き去って、4番手に浮上する。そのままポジションを守り抜き、あと一歩のところで表彰台には届かなかったとはいえ「リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R」は4位を獲得。ランキングトップを引き続きキープすることとなった。
その一方で、状況を打破しようと再び雨が降り始めたタイミングに3ストップを敢行したチームは、積極的なタイヤ交換作戦がうまく機能せず。本当に天候に翻弄された感は強かった。そんな中、10位は「HOPPY Schatz GR Supra」が獲得、ニューマシンでの初入賞に成功した。なお「グッドスマイル 初音ミク AMG」は予定どおり56周目で走行を終了するも、26位で完走扱いに。チームランキングに貴重な1ポイントを積み重ねた。
GT500クラスではポールからスタートを切った、「WedsSport ADVAN GR Supra」の国本選手が1周目のうちに3番手に順位を落とすも、セーフティカーラン明けからはポジションを守り続ける、まさに粘りの走りを見せていた。しかし、目まぐるしい天候変化に翻弄され、交換のタイミングはすべて裏目に……。後半スティントを担当した、阪口選手の力走及ばず15位に。状況は「リアライズコーポレーションADVAN Z」にも同様だった。平手選手から佐々木大樹選手へのリレーも実らず、14位という結果に終わっている。
Drivers’ Voices
藤波清斗 選手 (リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R)
【今回の成績 : GT300クラス 4位】
今回は荒れたレースで、その中でできることはやれたので、本当に良かったです。同じGT-R勢に負けたのは残念ですけど、それは仕方ない。タイヤは、序盤の僕の時は我慢しました。残り2戦、GT-R同士なら負けない自信があります。向こうもそこそこ重いので。スバルは少し離れたから、それだけでもちょっとホッとしました。次のオートポリスでもスバルは速いでしょうから、まだまだ気は抜けないです!!
J.P.デ・オリベイラ 選手 (リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R)
【今回の成績 : GT300クラス 4位】
今回は車が速かった。戦略面では最初のピットインは、たぶんステイアウトがいちばん良かったと思う。その後、僕のスティントは車も速かったけど、タイヤも良かった。結果ランキングでトップもキープできていいレースだった。私たちは今、2番手とは4ポイント差だけど、GT-Rが相手なら負けません。あと2戦も頑張ります。
Engineer’s Voice
白石貴之 [横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発1グループ・リーダー]
「WedsSport ADVAN GR Supra」は相変わらず予選の速さは安定感があり、今年4度目のポールポジションを獲得して頂いて非常にありがたく思います。
決勝に関しては、こういう複雑な天候、環境の変化が多い状況になると総合力として今回勝ったメーカーさんとは差があるな、というのを痛感しました。ドライタイヤに関しても、ウェット路面の後の路面温度が下がった状態でも、すぐウォームアップできて、グリップが維持できるとか、同様にウェットタイヤも水量が多い・少ないという環境変化に対しての使用レンジの広さでは、他社さんとは差はかなりあると思っています。
そういうところに関して言うと、なかなか一朝一夕では改善が難しいので技術課題として少し長めの取り組みにはなるかもしれませんが、我々も行っている所ではありますので、更に加速する必要がありそうです。今後、レース距離が長くなりタイヤの使用本数が減ると、よりそういった部分が重要になりますので、今回の結果を課題として、さらに進める必要があると思います。ただ、部分部分では他社さんと競争力がある箇所を確認できた部分もありますので、そういった点では発見もかなりありました。
次のオートポリスは、去年かなり厳しいところがありまして、それに向けて構造やゴムを改善してはいます。ただ、今年に関してはオートポリスでテストができていないので、あくまでも去年の結果をもとに……というところではありますが、今回のSUGOにもオートポリスを想定したトライアルを少ししていた部分もありますので、その結果を踏まえて、次の持ち込みに反映したいと思います。